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会社から残業代(時間外手当)がきちんと払われていない気がするけれど、正しい残業代はどのように計算すればよいのだろうと、頭を悩ませたことがある方もいるかもしれません。
そこで、時間外手当の算出方法について、解説していきます。
使用者は、時間外労働、休日労働及び深夜労働について、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額に、それぞれ一定の割増率を乗じた割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条)。
法令上は、各労働時間の割増率について、その下限が定められているのみであり、実際に適用する割増率は、就業規則や雇用契約書において定めておく必要があります(定めがなければ法定の割増率が適用されます。)。
それでは、時間外手当に関する労働契約上の明確な合意が認められない場合、どのように計算すればよいのでしょうか。
労働基準法施行規則19条は、次のように定めています。
「法第三十七条第一項の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によって延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの労働時間数を乗じた金額とする。」
そうすると、時間外手当を算出するのは、次の算定式によることとなります。
(労働契約に基づく1時間当たりの単価)×(時間外労働の時間)×(労働基準法に基づく割増率)
例えば、労働契約に基づく1時間当たりの単価が2千円の労働者が50時間の時間外労働をした場合、会社の就業業規則等で特に割増率が定められていないときは、
それでは、1時間当たりの労働単価算出の基礎となる給与の範囲はどのように確定するべきでしょうか。
この点について、労働基準法施行規則21条は、次のとおり規定しています。
すなわち、合計賃金から上記に列挙された諸手当が控除された賃金が1時間当たりの労働単価算出の基礎となる給与となります。
次に、1箇月あたりの所定労働時間を計算して、上記のとおり計算した基礎となる月額賃金で割って、労働契約上の1時間当たりの単価を計算することになります。
この計算について、労働基準法施行規則19条4号は、「月によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額」と規定しています。
例えば、1箇月あたりの所定労働時間労が160時間の労働者が、上記に列挙された諸手当を控除された賃金として24万円を支給されている場合は、労働契約上の1時間当たりの単価は、
となります。
残業代の計算方法については、以上のとおりですが、上記のとおり労働基準法だけでなく、施行規則等も考慮した計算が必要となってきますので、弁護士に依頼して計算してもらうのが確実でしょう。
また、計算方法は分かったとしても、残業時間の立証などのハードルもありますので、残業代請求を考えたらまずは弁護士ご相談ください。