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営業職として働いている人の中には、会社から「営業職は残業代が出ない」という説明を受けている人もいるのではないでしょうか。
しかし、実際の勤務実態や賃金体系によっては、営業職でも普通に残業代は発生します。会社が誤った法律の解釈をしている可能性もありますので、営業職の人は一度未払いの残業代がないかどうかチェックしてみましょう。
外回りの多い営業職は「残業代が出ない」と誤解されることも多い職種です。
ただ、実際には「残業代が出ない」とされている場合であっても、残業代が発生しているケースも珍しくありません。
残業代を支払ってもらう権利は、法定労働時間を超えて働いた労働者にとっては当然の権利です。
営業職というだけで残業代の支払いを受けていないのであれば、そうした会社の対応は違法ですし、会社から残業代を支払ってもらえる可能性があります。
「残業代が出ない」と誤った法解釈がされやすいケースとしては、次のようなものが挙げられます。
企業の中には、営業手当という名目で固定残業代を払っているところがあります。
その場合、「一定時間分の残業代があらかじめ払われている」という扱いになるため、残業代を払わないからといって直ちに違法になるとは限りません。
ただし、営業手当が基本給と明確に区別されていない、営業手当の想定している労働時間・勤務形態と実際の勤務実態がかけ離れている、といった場合には、たとえ営業手当があっても残業代が発生している可能性があります。
営業職の中には、給料の一部を歩合給(インセンティブ)でもらっている人もいます。
ただし、歩合給があくまでも成果に対して支払われるものに対し、残業代は労働時間に対して払われるものです。
歩合給と残業代とでは報酬としての性質がもともと異なるため、歩合給をもらっているからといって「残業代を払わなくてよい」という結論にはなりません。
時間外勤務が発生している場合は、当然、残業代が発生します。歩合給の中に残業代が含まれる場合も、賃金と残業代が明確に区別されていない場合は違法です。
営業職の場合、労働時間の計算を簡単にするために「事業場外みなし労働時間制」が採用されていることがあります。
これは、社外で勤務することが多い社員について、「一定の労働時間働いたものとみなす」とするものです。
事業場外みなし労働時間制が採用されると、8時間働いた場合も、12時間働いた場合も、みなし労働時間が10時間であるときは「10時間働いた」とみなされることになります。
みなし労働時間として決められた時間以上に働いてしたとしても、残業代が出ないおそれが高いといえるでしょう。
ただし、事業場外みなし労働時間制が適用されるためには、①事業場(会社)外で業務に従事し、②会社の指揮監督が及ばず、③労働時間の算定が難しいという厳格な条件があります。
会社の外で業務に従事していても、携帯電話やメールなどで会社の命令や指示を受けている、上司が営業活動に同行している、といった事情がある場合、労働時間の把握は比較的容易です。
こうしたケースでは事業場外みなし労働時間制は認められません。
会社側が「事業場外みなし労働時間制だから残業代は出せない」と主張している場合でも、残業代は当然に発生しています。
営業職の場合、日中は外回りをしていて帰宅後に自宅で事務作業をする、といった働き方をしている人もいるかもしれません。
営業時間外に行う自宅での作業や休日の顧客対応などは、勤務時間に含まれます。時間外勤務である以上、残業代を請求できる可能性が高いといえるでしょう。
外回りも多い営業職は勤務形態が不規則、かつ長時間労働になりがちです。
もし「未払いの残業代があるかも」と思ったら、タイムカード、勤務日誌といった証拠を集めるとともに弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士は法律と交渉ごとのエキスパートであり、依頼者にとっては頼れる存在です。
その後の会社との交渉をスムーズに進めるためにも、一度、ご相談なさってみてはいかがでしょうか。