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医師

長時間労働で働く医師の場合、多額の残業代が発生することも珍しくありません。
しかし、実際にはサービス残業となり、残業代が未払いになっている状況も見られます。
ここでは、医師の未払残業代をめぐる問題や本当は残業代を請求できるケースなどについて紹介します。
 

長時間の残業が常態化…医師の過酷な勤務実態

命を守る現場で働く医師は、患者に対する義務感や仕事量の多さから過酷な長時間労働に陥りがちです。
しかも、業界の慣習で長時間の残業が当たり前となっており、月100時間を超える長時間残業を前提とした36協定が締結されているケースもあります。
こうした事情から、過労死基準を超えて働いている医師も少なくなく、病院に過労死した医師の遺族への損害賠償を命じる判決も出ています。
医師の長時間労働問題の解消に向けた動きも始まっていますが、まだ道半ばというのが現状です。
根本的な問題の解決には何年もかかるといわれています。
それとともに、長時間労働に伴う残業代の未払いも問題になっています。
 

医師でも残業代は発生する

長時間労働に陥りがちな医師であっても、サービス残業は違法です。
勤務医であれば、時間外労働に対して残業代が発生する可能性があります。
しかし、実際には本来払われるべき残業代が支払われていないケースもあるようです。
 

医師で残業代が発生している可能性があるケース

医師で残業代が発生している可能性があるケースとしては、次のようなものがあります。
 

研修医・勤務医として働いている

研修医や勤務医は労働基準法上の「労働者」にあたるため、労働基準法が適用されます。
また、医師は専門業型裁量労働制の対象でもないため、みなし労働時間制は適用されません。
時間外労働した分については、きっちり残業代を請求することができます。
具体的には、法定労働時間(1日8時間又は週40時間)を超えて働いた分には残業代が発生します。
もし残業代がきちんと支払われていない場合は、使用者に請求できる可能性があります。
 

年俸制を理由に残業が払われていない

医師の中には月給制ではなく、年棒制で働く人もいます。
しかし、年棒制だからといって、当然残業代を払わなくていいということにはなりません。
年棒制は「1年でもらえる給与の額を決めておく」という意味ですので、もともと残業代とはまったく関係ないものです。
もし年俸制に固定残業代を含める場合は、基本給と明確に区別できるようにしておく必要があります。
固定残業代と基本給が明確に区別できないときは、年俸制であっても「固定残業代込みの年俸なので、残業代はすでに支払い済み」という病院側の主張は認められません。
 

名ばかり管理職になっている

労働法上、管理職には残業代などの時間外手当を支払わなくていいことになっています。
ただし、個々の労働者が管理職かどうかは勤務態様や待遇、裁量権などを総合的に考慮して判断されるものです。
したがって、肩書きだけは役職付きの管理職であっても、「名ばかり管理職」といえる場合は管理職と認められない可能性があります。
もし「名ばかり管理職」で実態は普通のスタッフだったという場合、時間外労働をすれば残業代や休日出勤手当が発生します。
 

労働時間にカウントされる可能性があるもの

「労働時間」としてみなされていないものが、実は労働時間にあたる場合もあります。
労働法における労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」です。
したがって、上司の指揮・監督下で動いていたといえるのであれば、院内研修、待機時間、朝礼などの時間も労働時間にカウントされる可能性が高いといえます。
また、当直時間についても「実際に労働していた」といえるような実態があれば労働時間に含まれます。
 

医師の残業代未払いに関する相談は弁護士に

医師の場合、院内研修や待機時間など「時間外労働」と考えられていない時間外労働が発生している場合もあります。
もし今の労働環境や残業代の支払い方法に疑問を持ったら、一度弁護士に相談されることをお勧めします。

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