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専門業務型裁量労働制

雇われて働く場合、働いた時間分だけ賃金が発生するのが基本です。
しかし、専門職の中には実働時間にかかわらず「一定時間働いたもの」とみなす「専門業務型裁量労働制」が採用されていることがあります。
ここでは、専門業務型裁量労働制における残業代の問題について紹介します。
 

そもそも裁量労働制とは

裁量労働制とは、実際に労働した時間ではなく、労使が話合いで決めた一定の時間を「労働時間」としてみなす制度です。
実際の労働時間に関係なく、みなし労働時間分働いたものとして給料が支払われます。
つまり、実働時間が6時間だったとしても、みなし労働時間が7時間であれば、7時間分の賃金が出るということです。
逆に、実働時間が10時間でもみなし労働時間が7時間であれば、残業代は出ません。
そのため、企業の中には、裁量労働制を悪用して残業代なしで長時間労働をさせるケースもあります。
 

専門業務型裁量労働制が適用される職種

裁量労働制は、仕事のやり方や時間配分について従業員の裁量が求められる仕事に向いています。
中でも、専門業務型裁量労働制は、専門性が高い19種の業務についてのみ認められる裁量労働制です。
具体的には、システムコンサルタント、研究職、記者、コピーライター、ゲームソフト開発などの業務があてはまります。
これらにあてはまらない職種・業種で専門業務型採用労働制を採用することはできません。
 

専門業務型裁量労働制でも残業代が支払われる場合

専門業務型裁量労働制が採用されている場合、法定労働時間を超えて働いても残業代が出ないおそれがあります。
しかし、専門業務型裁量労働制だからといって絶対に残業代が支払われないというわけではありません。
次のようなケースでは、専門業務型裁量労働制を採用している職場であっても、残業代が出る可能性があります。
 

裁量労働制が正しく導入されていない場合

専門業務型裁量労働制が適用できる業務は厳格に決められています。
したがって、本来当てはまらないはずの業務で裁量労働制が導入されている場合は違法です。
また、裁量労働制の実施には労使委員会の設置や社員の同意といった条件も満たす必要があります。
これらの手続をしないで導入した場合も裁量労働制は無効になります。
 

みなし労働時間が法定労働時間を超えている場合

みなし労働時間が法定労働時間(1日8時間又は週40時間)を超えているときは、超えた分については残業代が発生します。
法定労働時間を超えた分について残業代が支払われていない場合は違法です。
 

深夜の残業や休日出勤が発生している

裁量労働制であっても、深夜勤務をした場合については別途残業代を請求可能です。
また、休日出勤(法定休日の出勤)については裁量労働制の対象外になりますので、働いた時間全部について時間外勤務手当を請求できます。
 

専門業務型裁量労働制の導入・運用に問題がある場合は弁護士に相談を

専門業務型裁量労働制であっても制度の導入や運用に問題がある場合は、残業代が請求できる可能性があります。
働き方や賃金について何か気になる点や不安なことがある方は、一度弁護士にご相談ください。

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